新しい MacBook Pro

新しいMacBook Proのスタイリングを見て、思い出したのが、同じく黒いキーボードを装着した時代の MacBook Pro。メモリースロットやMagSafeなど、当時の MacBook Proも同様の機能を備えていた。その意味では、ちょっと物足りなさを感じる。

一方で、素晴らしいディスプレイやマイクなどは遠隔授業や写真編集などで活かせそう。おそらく、映像編集のプロを意識しているのだろうな。間違っても、Microsoft Officeだけを使う人をターゲットにしたわけではないだろうな(笑)。

さて、自分はどうなのだろう。既にディスプレイはEIZOの27インチを使っているし、マイクはSHUREを接続している。不満があるとすれば、Zoom録画をしている際にウィルスチェッカーが動くと、作業にならないほど遅くなるということぐらい(笑)。これらの環境を持ち運ぶことは出来ないが、そうした場合はiPad Proを使っている。画像編集などはiPad ProのPixelmator Photoか、写真アプリで十分。

ただ、研究室レベルでは少し状況が違う。来週発表されるmacOSでCreate 3Dが実装されるはず。これを使えるアプリが出揃えば、iPhone(できればPro)やiPad Proで撮影した写真から3D/ARモデルの出力が可能になる。その場合に、M1 ProやM1 Maxのパワーがどの程度実力を発揮するのか知りたい。現場である程度出来上がりを確認するのであれば、研究室に MacBook Proが一台あってもいいと思う。

ということで、様子を見る、というのが今回の結論のようだ(笑)。

iPadで支笏湖小学校の活動を支援

先日(2021/10/05)、千歳市にある支笏湖(国立公園)ビジターセンターで、千歳小学校(全校児童10名)の児童(1年生から6年生、5名が参加)らに一人一台づつiPadを使ってもらい、アクティブラーニングをしてもらいました。私の研究室の学生(情報システム工学科の4年生、大学院生)らが企画を行い、支援に付きました。活動の様子をNHKが取材し、Webに記事と午後6時台のニュース動画をアップしていたので、こちらに共有します。

当日は、ビジターセンター内に展示された、支笏湖周辺の生態系に関する展示を見て周り、独自のゆるキャラの絵を紙に描いてもらいました。子供達には、iPadのカメラを使ってもらいましたが、中にはビデオ撮影を選んだこともたちもいました。

次に、描いた絵をアプリ「らくがきAR」を使ってスキャンして、キャラクターの動きを動画にしました。事前に作成しておいたKeynoteに動画やこだわりのコメントを挿入して、最後にiPadをテレビに繋いで自慢のゆるキャラを紹介してもらいました。

当初、小学校の先生の中には「一年生にiPadが使えるのか」などの心配する声もありましたが、大人の想像以上にiPadを使いこなしてくれました。例えば、作業を終えた子供達は、友達のゆるキャラの絵を借りて、自分のゆるキャラと一緒に動画を取り込むなど、大学生や大人の想像を超えた行動をしてくれました。改めて、大人が子供の行動に蓋をしていけないと思いました。

小さな小学校の子供達が、美しい支笏湖を背景にiPadを片手に活き活きとアクティブラーニングをする姿をご覧ください。マイクロ小学校ならではの贅沢な活動でした。ご参考まで。

2020年度卒業研究発表会終了

今年も卒業研究発表会を終えることができました。

コロナ禍の卒業研究という,兎にも角にも大変な1年間でした。何しろこの研究室はフィールドワークを中心とする研究室ですから,それが思うように任せないなどということは想像もしていませんでした。そんな中を学生たちはオンラインで課題の収集に取り組みました。

ようやく活動ができそうになったのが,9月のことでした。この機会に一気にフィールドワークを行えたのが何よりでした。その後も大学内で感染者が出たりするなど,基本的にはオンラインで指導を行いました。最終的に困ったのが,システムやアプリの実験の被験者をどのように集めるかという問題でした。卒論提出後も,発表会までに追加実験を行いました。最後の最後まで諦めない,そんな学生たちの意地を見た気がします。

最後に研究室で発表を終えた学生たちと集合写真を撮影できた際にはほっとしました。研究発表会には3年生らも駆けつけて,先輩たちの様子から来年の自分たちの姿を想像してもらいました。また,多くの皆様にオフライン,オンラインで励ましの言葉を頂戴しました。この場をお借りしてお礼申し上げます。ご支援,ご鞭撻のほどありがとうございました。

発表を終えた学生が後輩たちに送った言葉を以下に示します。よくぞここまで成長してくれたと感無量です。来年度はもちろん,再来年以降の学生たちも参考にしてください。

ゼミ活動の心持ち

後輩たちへ

2021年2月12日,卒研発表を終えた後にこの文章を書いています。3年生の夏から曽我研究室のゼミ活動に取り組んできて,私が成長し,意識するようになったこと,こうしてたら良かったなと思うことをまとめてみました。この考え方が合えば,頭の片隅にでも入れておいてくれると嬉しいです。

戸井 奈菜美

『相談できる人を1人でも多く作っておく』
多くの価値観からの意見が重要です。困ったとき,悩んだときは誰かに相談した方が絶対に良いです。先生でも,先輩でも,同期でも,後輩でも,とにかく周りを頼ってください。

『失敗の方が多いと思っておく』
何度失敗しても,恥ずかしい思いをしても,ボロクソに言われても,結局はその先に繋がる良い経験になります。むしろ色んなことやってみて,たくさん失敗してください。やらないよりはよっぽど良いです。

『不安や焦りや緊張から逃げない』
足を止めても決して逃げることはしないでください。結果が求められることに変わりはありませんが,曽我研究室はどこよりも経過を大事にする研究室です。少しでも,一つでも良いので進み続けてください。やればいつか達成出来ますが,やらなければ一生囚われたままです。

『データの整理は定期的に,上手に』
データが散乱していると,後々困ることになります。必ず,日付順,訂正順,テーマごと,段階ごとにデータを整理してください。それが整理されていないと,気持ちも不安定になります。

『メリハリをつける』
やるときはやる,休むときは休むと,メリハリをしっかりつけてください。やるときはできるところから効率よく進めましょう。行き詰まったら休むのも手だし,誰かに聞く,勉強する,一晩寝かせるなど,手を施してみてください。休むときは,何もかも片隅に追いやって,思いっきり寝て,思いっきり食べて,思いっきり好きなことしてください。とにかく健康に,楽しく毎日を過ごしてください。

『主体的に活動する』
「先生が言ったから」「やらないと怒られるから」ではなく,「これがやりたい」「こう思ったからこうしてみよう」というように,自分主体でゼミ活動に取り組んでください。そのほうが絶対に楽しいです。好奇心の赴くまま活動してみましょう。

『勉強を怠らない』
時間をかけて勉強することは,まわりくどく見えて実は近道です。わからないこと,できないことは本なりネットなりで積極的に勉強してください。案外簡単に出来ちゃったりしますし,中々できなかったり結果が思うように出なかったりしてたのがいつの間にか達成できてることなんてざらです。根気強く取り組んでください。

『苦労はつきもの』
思い通りにいかない苦しさは皆味わうものです。それだけ大きなものに立ち向かっていることを誇りに思ってください。乗り越えれば活動は飛躍的に発展していきます。

『とにかく経験しておく』
やれることはなんでもやること,チャンスは逃さないこと,貪欲にチャレンジすることをおすすめします。経験は,もしも自分が弱って,思うように働かない時でも力を発揮してくれます。

『自分流を見つける』
活動の進め方,手段,考え方は人それぞれです。考えをまとめるために,パソコンを使う人,スマホを使う人,紙とペンを使う人,ホワイトボードを使う人,口に出す人など,様々です。自分あったやり方,気分にあったやり方で進めてください。考え方も自分がベストだと思う考え方を見つけてください。効果は見つけたらわかります。

最後に
色々書きましたが,結局私もできたり,できなかったりでした。ですが,これらのことを頭に入れておくだけで,挫けた時でも,ずっこけた時でも,逃げずにここまで達成することが出来ました。そんな自分を誇りに思っています。一年間研究活動を続けることは並大抵のことではありません。皆さんが楽しく活発に活動し,目指すゴールへ辿り着けるよう,祈っております。

アップルチップ版MacBook Air到着

噂の(?)M1チップと呼ばれるアップルチップを搭載したMacBook Airが研究室に届きました。チップセットが変更になるということは大変なことで,これまで私自身はMacOSで4度変更を経験しています。最初はモトローラ社の68kシリーズチップからApple/IBM/モトローラ連合製のPowerPCチップへ,その後Intelチップへと移行してきました。その時々でメーカー(この場合はアップル)は良いことをアナウンスします(笑)。まあ,悪いことを言うメーカーはいないわけですが,その度に経験してきたことは「ネイティブアプリが少なくパワーを享受できない期間があった」と言うことです。しかし,スティーブ・ジョブズがモダンOSと呼ばれたNeXT OSと共にアップルに復帰してからは,少なくともOSレベルでの移行はアップルにとっては得意なのかもしれません。

起動直後のM1チップMacBook Air
梱包箱のどこをみてもM1の表記はない。起動後確認(笑)。

何しろ,NeXT OSを持ち込んだアップルの最初の仕事はPowerPCへの移植でした。これが現在のmacOSへの布石となります。一方でNeXT社は,独自ハードウェア(68kチップ)の生産中止後x86系チップへの移植なども手掛けており,こうした経験がアップルにも引き継がれたと考えられます。その後,macOSからiOSが派生し,tvOSやwatchOSなどへと発展していきました。iOSはARMチップセットを対象に開発してきましたら,この点は今回のmacOSをARMベースの自社チップセットに移植する際に大いに参考になったはずです。つまり,近年のアップル製OSは,当初からチップセット移行を前提にした拡張性の高さを持っていたことになります。いわば,アップルの特徴である垂直統合型企業(この場合はハードウェア、ソフトウェア、サービス全てをアップルが賄う)としてのあり方を支えていると言えます。

そんなアップル社が満を辞してリリースしたのがMac用のチップセットであるM1チップ。CPU、GPU、メモリーなどを統合している。チップセット移行がややこしいのは各セットごとの機械語が異なるから。アップルの場合はアプリの開発環境であるXcodeがコンパイル、生成時にARM版とIntel版のコードをパッケージとして出力するのでどちらのチップセットでもネイティブで高速に稼働します。もちろん開発者は再コンパイル時にエラーが出れば修正を余儀なくされます。Adobeなどは既にPhotoshopのアップルチップ用ベーター版を公開済みです。こうした対応が早いのはアップルと密にコンタクトしていることをうかがわせますし、実際、アップルチップが公開されたWWDC時に既に協力メーカーとしてAdobeの名前がクレジットされていました。

では、独自チップセットがあると何が嬉しいのか。アップルの場合は先にも述べた垂直統合型としてハードからサービスまでも一体化できるというメリットがあります。つまり、サービスで顧客満足度を高めるための機能が必要となった場合、それをチップセットで準備できるということ。例えば、サービス側が「今度こういう効果を提供したいんだよね」と言えば、ハード側で実装することで処理速度が上がるかもしれません。さらに、その機能を実現するためにOSがAPIを提供すれば、複雑なアルゴリズムを考えなくても命令コード1行で済むかもしれません。これは、ハード内でも同様です。メモリーに配置されたデータのアクセスなどをもっと高速にしたいとか、もっと省エネにしたいとか様々なニーズを自社の開発チームがアイデアを持ち寄り、自前のチップセットに組み込むことができるわけです。

これが、今まではできませんでした。OSからアプリまでは自社でできても(後述)CPUはインテル製ですし、メモリーも互換性のある汎用メモリーを使っていました。M1チップではメモリーもチップセットに埋め込まれたものを使います。メリットは高速ですが、デメリットは後で増設ができません。ただし、アップルとしてはそこもビジネスにつながります。メモリー足りませんでしたかあ、ではメモリーの大きいチップセットの(高額な)Macをどうぞ!となるわけです。以前から、iPhoneとAndroid機のグラフィック性能が違いすぎて、ゲームベンダーが困っているという話がありました。Android機の性能差が大きすぎるのです。一方、アップルはiPhoneの生産全てを賄っているので、ある程度の性能を持たせた機種をエントリーレベル以上に据えることができます。極端な話が、あるサービス(ゲームや映像配信)を利用できる性能以上のiPhoneを市場に流通させているわけです。これも、Androidメーカーではできません。結果的にローエンドの機種では,あるゲームができない、といった状況になり顧客満足度(エクスペリエンス)が下がりリピーターに繋がらないわけです。
いうまでもなく、PCでも同様です。最近でこそWindowsの世界ではゲーム専用機が一部で売れているようです。強力なGPUを搭載し、その見返りとして莫大な電力を消費します。ある意味、提供メーカーは汎用性の高いCPU、GPU、メモリー、電源などを組み合わせて提供に漕ぎ着けます。アプリメーカーはOSのバージョン、CPU、GPUなどの制限をスペックで示し満足した機種だけが動作保証されます。動作保証されない機種を持っているユーザは買い替えを迫られます。この点、アップルはできるだけ古い機種も新しいサービスを享受できるように努力してきました。その皺寄せは独自OSで吸収してきました。Android端末よりもiPhoneの製品寿命が長いのはそのためです。しかし、Windowsでゲームアプリをリリースしているメーカーにしてみれば、その限界が見え始めていたはずです。かといって、Microsoftを当てにしてもOSレベルでの対応をしてくれるわけではありません。

一方、Macも綻びが見え始めました。バリバリのグラフィックゲームアプリは外部GPUを用いる必要がありました。MLなどAIのエンジニアもMacは使えません。内蔵GPUがプアだからです。こうした背景からMac用独自シリコンチップの開発は必然だったわけです。その第一弾だったM1チップを搭載したMacBook Airを入手しました。いわゆるエントリー機ですね。感想はスイスイ動くね、といったところ。実際、日本語入力なども気持ちよく可能です。ただし、私は日頃使用しているMacがiMacやMacBook Proなので、M1は実に高速だ!という印象ではなかったです。しかし、これがエントリー機であるというのは素晴らしいことです。これも感覚的な印象ですが、学生諸君らは従来の1.5分の1ぐらいの値段で高性能を手にすることができると思います。

AppleTVにミラーリングできないトラブルもあり(固有の問題?)。

懸念されることとしては、PhotoshopなどのGPU性能やメモリーを要求するアプリがネイティブ化された際、どの程度M1の性能を活かせるかという点です。

アドビのアプリはM1チップのコンピュータで稼働しますか?

現在はKeynoteなどのアップル製のアプリはほぼネイティブ化されており、メモリー容量が8GBでも不思議なぐらいスイスイ動きます。果たしてサードパーティの重たいアプリ群がどのように振る舞うのかは今後、様子を見ないとなんとも言えません。コロナ禍にあって、テレワークや自宅学習などが増え、Macの販売も好調だったこのタイミングで独自チップのエントリーモデルをリリースしたのは的確な判断だったと思います。これを使って困る人は限られます。来年にはiMacなどもう少し性能の高い(価格も高いのでしょうね)Macが登場するようです。その頃にはサードパーティのアプリも増えているはずです。個人的にはその辺りのMacが人生最後(?)の選択に近いと思います。入手後改めて紹介したいと思います。

新型iPhoneに切り替えてあれこれ

先日数年ぶりにiPhoneを買い替えた。最新型12 Proでそれまで使ってきたiPhone Xの後継とした。きっかけはコロナ禍におけるテレワーク。自宅で仕事をする時間が増え、特に夏場は家の周辺を散歩する機会が増えた。公園で子供達と遊ぶ父親など価値観の変容を感じることが増え、iPhoneで写真を撮る機会が増えたのである。それまで使ってきたiPhone Xでも素人の自分には十分な性能だっただが、LiDER搭載ということでAR系を扱っている自分にとっては必要だとも思い「Pro」の携帯電話なるものに手を伸ばしてみた(笑)。

親子で公園に
古いiPhone Xを使い近所の公園を撮影(2020.5)

しばらく使ってみての感想は、スーパーバカチョンカメラという印象。これは決して悪口ではない。我々が若かったころ、バカチョンカメラというのが流行った。要するに、バカでもチョンでもシャッターを切ればピントの合った写真が撮れる、ということで一般的なコンパクトカメラにオートフォーカスが搭載され始めた頃流布した言葉である。完全に死語ですなあ。12 Proはとにかくブレない。暗闇で黒い車を撮影してもブレない。恐るべしである。もちろんそのバックグラウンドにはアップルお得意のAI(機械学習,Machine Learning,以降ML)が活かされている。これが強み。アップルはそれまでのパソコン業務に加えて音楽(iPod)を経て電話(iPhone)へと発展させ、今やこれらの心臓部であるシリコンチップ(昔風に言えばCPU)も自前で設計するようになった。スティーブ・ジョブズと死の間際にマイクロソフト社のビル・ゲイツ氏と交わした際のことがジョブズ氏の伝記に記されている。いわく「君の垂直統合モデルも素晴らしかった」と。要するにハードからOS、ソフト、サービスまで一社で賄うことにより最適化された製品を作り出すことに成功した、ということ。まあ、今ではGAFAと呼ばれこの先どうなるのか,先行き不透明感がないわけではない。トランプ政権から変わったのでしばらく動きは落ち着きそうだが。

ともあれ、新型iPhoneで撮影した写真は素晴らしい。同社はAI(ML)に相当力を入れている。AIというと何かを予測させるのか、と考えがちだ。確かにGoogleもようやくコロナ感染予想をAIで公開した。一般の人のイメージはそこだろう。だが、アップルは元々データの扱いに慎重な会社である。Googleとはビジネスモデルが異なるのである。彼らはAIを自社製品のインターフェースデザインなどに盛り込んだ。果たして誰がそうしたAIの活用を考えたであろう。例えば、現在この文書を書いているのはiPad Proである。タッチパネルやキーボードのトラックパッドなど様々なカーソルコントローラが付いている。ユーザが画面上のボタンを指示したいのか、画像をドラッグ&ドロップしたいのかなど、ユーザの思惑は様々である。アップルはこうした判断などにもAIを使っている。あるいは、アップルウォッチを付けたまま手を洗うと「(コロナ禍だから)20秒洗おう」として計測開始。こちらも何とか褒めてもらおうと20秒以上手を洗うことを心がける。終了すると「おめでとう」と褒めてくれる。アップルウォッチのセンサーとAIを組み合わせたサービスだ。手を洗う際の音や手の動きを学習しているのだ。

もちろん、画像処理にもAIが使われる。デジタル画像のパラメータは豊富であり、素人の私には手を出しにくい。その昔Photoshopを使い始めた頃、千葉に住むプロのUさんに言われた「普通の人は「自動補正」を選ぶぐらいにした方が良い」は、今だに私の心に刻まれていて、そのようにしてきた。その後画像処理はiPad Proが中心となり、使用するアプリはPixelmator Photoへと変わった。そこでも、使うのは「自動補正」ボタンが中心。何しろ補正項目は目が眩むぐらい多いのだ(添付はパラメータの一部)。Pixelmator Photoの自動補正 はプロの画像作家たちの補正項目をMLでアルゴリズム化したというもので、当時話題になったものだ。iPhone Xまでの写真はこれで十分だった。

Pixelmator Photo
Pixelmator Photoの補正パラメータの一部

ところが、iPhone 12 Proになり状況が一変。Pixelmator Photoの自動補正を使うとしっくりとこないのだ。サンプル画像を示す。最もイメージに近いのがオリジナル。今にも大雨になりそうな夕方のキャンパス。窓の明かりが煌々と、まだ仕事に勤しむ人々を照らしている。

iPhone12Proサンプル
iPhone12Proで撮影した大雨接近中の夕方のキャンパス

これをPixelmator Photoの自動補正をすると、チンケな昼間の画像になってしまう。恐らく、iPhone 12 Proで撮影した画像ファイルに記録されているデータが、従来のMLで用いたデータと齟齬をきたしているような気がする。

 iPhone12pro サンプル
Pixelmator Photoで自動補正

つまり、それまでのiPhoneではこうした写真は撮れなかったのだ。少なくとも普通の素人は。だから、自動補正の(AIを用いた)処理とミスマッチを起こしているのかもしれない。そこで、アップル純正の写真アプリの自動補正を試したのがこちらの写真。オリジナルほどのドロドロした雰囲気は薄らいでいるが悪くはない。

写真アプリによる補正
アップル純正の写真アプリで自動補正

これこそビル・ゲイツが誉めた垂直統合型の威力。写真アプリは新型iPhoneの写真補正にも最適化されて提供されている、ということ。もちろん、Pixelmator Photoは他にも素晴らしいフィルター機能を提供するなど、自動補正以外の使い道(これが本来の使い方)があり、素晴らしい写真作りに貢献してくれているので、しばらくは使うつもり。何より、新型iPhoneへの対応があるのかどうか、上記仮説を裏付けるようなアップデートが楽しみなのだ。

話が遠回りになったが、新しいiPhoneには満足している。ナイトモードを使い手持ちで夕暮れ近くの黒い車を撮影したこちらの写真など、素人が一眼カメラで写すことが難しい写真をいとも簡単に撮影してくれる。

夕暮れの黒い車
iPhone 12 Proで撮影した夕暮れ時の黒い車

茨城に住む大恩人でプロの写真家であるH氏はこの写真を見て「高級一眼カメラもそうだけど、薄暗いところで薄暗く撮るって案外苦手なんだ。ここぞとばかり、昼間並みの適正露出を叩き出す。この写真は暗さの中で見ているイメージに近いと思う。一眼ならだいぶマイナス補正かけてるシーンだね。」とコメントしてくれた。

今後アップルは独自写真ファイルフォーマットにLiDERなどの測距データなども付加するなどして非破壊構造を強化するらしい。アプリによるマスク切り出しや色を変えるなどがワンタッチになる可能性がある。一方、ファイル容量が大きくなり5Gが欲しくなる。ちなみに小生はキャリアSIMを使っていないので相変わらずの4Gである。
これぐらい楽しませてくれた新型iPhone、コロナ禍の相棒として十分お買い得なスマホだった。「Pro」という呼び方にはいまだに抵抗感があるが(笑)。恐らく本当のPro向けはiPad Proではないかと思う。筐体が大きくCCDサイズを大きくしても余裕があるだろうし、独自チップセットを設計できるアップルであれば「でかい電話」から脱却させることも可能だろう。この先も楽しみだ。

追記:

その後,本学の体育館をiPhone 12 Proのナイトモードで手持ち撮影してみたのが次の写真です。ただシャッターを切っただけで,この画質は満足のいく出来栄えです。

iPhone 12 Proのナイトモードで手持ち撮影した夜の体育館の様子。

久しぶりに投稿します

新入生から「先生のブログ更新止まっていますね」と言われ猛省の曽我です。

コロナ禍になり,授業準備など猛烈に忙しくなり更新に手が回らなくなりました。もっとも,直近の更新を見るとその前から手が回らなくなり始めた様子が見えます。要するにオーバーフローでした(汗)。

また,様々な事情からツイッターアカウントも手放してしまい,ツイッターも読めない状況になりました。ようやく諸々のことが落ち着きを見せ(コロナだけ終息が見えません)書き込みネタも増えてきたのでブログの更新も頑張ってみます。

どうぞ宜しくお願いします。

オープンキャンパスでプログラミングの模擬講義

今年も高校生向けのオープンキャンパスの季節となりました。本学は,四月に公立大学になり,今回(が最初のオープンキャンパスでもあります。曽我研究室では模擬講義「楽しいプログラミング」を行いました(1時間×2回)。実のところかなり緊張していました。それは、公立大学初のオープンキャンパスであり、どのような生徒が来るのか情報がありませんから、模擬講義のレベルや解説内容をどの程度にしたら良いのか、見当がつかないからです。しかも、今の時代はプログラミング教育の時代、高校でも色々と工夫を凝らしているに違いありません。
結局、iPadを使って、現在本研究室で行なっている、テキスト型とビジュアル型を交えたプログラミング体験をしてもらおうと考え、前者ではSwift Playgrounds を、後者はTynkerというプログラミング環境を考えました。Tynkerは興味深いビジュアル型環境で、一見するとScratchのような、いわゆるブロック型プログラミング環境なのですが、画面上ボタンをタップするだけで、Swift を意識した表記方法に変更することができるというものです。私たちの仮説としては、小学校でScratchに慣れていると、テキスト型への移行時に敷居があるかもしれないと考えています。これをシームレスに乗り越えるにはTynkerのようなテキスト型を意識した方が良いのではないかと考えました。いずれにしても、タイトルにあるように「プログラミングを楽しんでもらう」ことが肝心だと思いました。いずれの環境も高校生にとっては初めてのことで、楽しんでもらえると考えました。
一時間の模擬講義の中で,最初にTynkerを使いプログラミングの基本構造に慣れて貰いました。この際,Tynkerによる表現様式のグループと,Swift Playgrounds表現のグループに分けました。

Tynker(左)とSwiftPlaygrounds(右)にグループ分け。

両者の差が最も大きく出るのが,繰り返し処理の部分です。一般にテキスト型プログラミングでは繰り返しはFor文と変数を組み合わせた表現を用いるのに対し,Scratchのようなビジュアル型では「繰り返せ」のような直接的表現を用います。

Tynkerによる表現
Switt表現

その後,Swift Playgroundsの「コードを学ぼう」を用いて,繰り返し処理を含むプログラミングを体験してもらいました。実際に模擬講義を終えてアンケートを行ってみると,予想通り,多くの高校生が既に何がしかのプログラミングを行ったことがある生徒が多数を占めていました。初めて触れたプログラミング環境でしたが,そこそこ楽しんでくれたようです。iPadを用いてプログラミングするというのも初めての経験だったと思いますが,本研究室の学生による支援は付きましたが,ほぼ問題なくこなせていたようです。何れにしても,多くの生徒が今回のプログラミング授業を楽しんでくれたようです。

SwittPlaygroundsを用いたプログラミング体験

それぞれ,大学選びの参考になってくれれば幸いです。今年は,同じ内容で8月にも模擬講義を行います。今回参加できなかった生徒さんも是非ご参加ください。

学生と被災地に行く

昨年の地震は千歳も,そして自分のすむ清田区にとっても大変な出来事だった。しかし,本当に大変だったのは,言うまでもなく被災地の民さんである。被災地地である厚真町は,我がキャンパスの前の道を車で20分ほどのところである。

地震から一年弱,被災地の人々の苦労を思うと,気軽に訪れる場所ではない。その一方で,ゼミの学生たちには,自分たちのキャンパスから目と鼻の先で起こった状況を見せたいと言う思いもあった。

そこで,先ずは,ゼミのメンバーと安平町にあるスイーツの工場である「北の北の歓洋菓子工房」に行った。ここはその昔家族できたこともあるところで,美しい売店が印象的だった。事前に,学生にアポを取っていたにも関わらず,行ってみると売店は立ち入り禁止になっていた。駐車場の近くに臨時売店があり,行ってみると,元々あった売店は被災して開店できない状況なのだそうだ。臨時売店の店員に色々と話を伺うと,当時の状況がよくわかった。

店内には安平町の新しい道の駅「安平D51ステーション」のポスターがありQRコードがあった。そこで,「着地型観光」の典型的な例として,ここに向かうことにした。残念なことに当時地右派臨時休業。昨日の北海道新聞によると,何と現地に収める機関車(もちろんD51)はようやく「安平D51ステーション」に運び込んだとのこと。

その後,学生らとは厚真町でソフトクリームを購入したり,手作りマグネットを購入して学生にお土産とした。もちろん,地元に貢献したいと思ったのである。

学生たちには,キャンパスのすぐ近くにある被災地の苦労を身近に感じてもらいたかった。大学時代の貴重な記憶にしてもらいたい。

10連休;鉄道模型とレンタサイクルなど

今年の5月は10連休だった。年度当初からバタバタが続き,授業の準備もままならない中,連休はありがたいのだが,かといって人間,そんなにスイッチを切り替えることが上手に行かないことはご存知の通り。何より,今年は連休終盤にかけて北大博物館での講演「デジタルガイドブック:博物館をどう見せるか?」があり,この準備に多くを割いてしまった。反省しきり。

家族旅行は,観光を考える上では貴重な体験。いつものように,頭の中はカスタマージャーニーマップだった(笑)。数は少ないが久しぶりに良い写真が何枚か撮れたのは収穫。やはり旅に出ると日常とは異なる体験ができ,脳の使い方が普段とは異なるのかピンとくるものがある。そんな中,大きな収穫だったのが新札幌で開催された「新札幌鉄道模型フェスタ」に参加できたこと。特に,ナローゲージだった支笏湖の「山線鉄道」を再現するにはHOナロー規格が必要で,この現物を見たり,「北海道鉄道観光資源研究会」という会があることも知りました。しかも,支笏湖ビジターセンターのK氏をご存知とのこと。世の中は足で稼ぐものですぞ!学生諸君(笑)。

 

さて,北大博物館にはバス,地下鉄,徒歩,というのが定番なのだが,今回は地下鉄からレンタサイクルを使った。これまでも札幌にはポロクルというレンタサイクルがあったのだが,これが全車電動アシストになり,しかもスマホアプリ化されたのだ。これを試すには絶好の機会だった。

前日に,アプリをダウンロードしてクレジットカード登録などを行う。本来は安全性が高いApple Payを使いたいところだが,やむを得ない。次にアプリでポートと呼ばれる駐輪・貸出場を探す。JR札幌駅北口の端にある自転車置き場付近と北大構内の工学部にポートを発見。これなら今回は都合が良い。スマホから自転車の予約もできるのだが,20分間のみ有効だというのが自分の場合微妙。当日地下鉄の中で札幌駅北口のポートをチェックしていたが,貸出自転車は潤沢のようだったので,直接ポートまで行くことにした。たまたまポートには若いスタッフたちが自転車の移動・整理などを行なっていた。ニューヨークだとトラックの前にずらりと自転車を積み上げて移動するのだが,日本ではこのあたりの整備が遅れているのかもしれない。

JR札幌駅北口のポート
いざ,北大へ!

一点注意するとすれば,ポロクルはポートに自転車を乗り捨てられるのだが,ここが数に限りがある場合がある。返却用のポートを予約することはできず,もし現地に行ってみて満車だった場合は大変だ。対応方法は二つ。一つはそのまま借り続ける方法。ポロクルの「一回会員」(今回はこれを選んだ)の場合,最初の一時間が150円(税抜き)で,以後30分ごとに100円ずつ上乗せされ上限は1500円となる。もう一つは,別のポートを探すことになる。北大構内には他にポートが無いので,最悪は借りっぱなしだと思っていたが,今回は無事,乗り捨てることができた。

北大工学部のポートに自転車を乗り捨てた。
ポロクル二台で北大構内を走る観光客?

前部に荷物カゴがあるので,カバンを放り込んで走った。JR北口のポートから工学部ポートまでの所要時間は7分。電動アシスト自転車は実に楽だ。これは,ポロクルならでは。いかんせん,講演の都合上,のんびりとしていられなかったので,駐輪後あたふたと徒歩で北大博物館へと向かったのだが,本当はもっとゆっくり使っていたかったところ。この日,北大からの帰路正門付近に観光客らしくカップルがポロクル二台で連れ添っている姿を見かけた。実は,ニューヨークやバンクーバー,金沢でもレンタサイクルがあり,利用したかったのだが,ようやく札幌で実現できたのだ。特に,金沢では自転車に広告を載せて少しでも稼ぎを出そうという創意工夫があり,感心した。

ニューヨークの例
金沢の例
バンクーバーの例

特に,海外では当初からアプリ化が前提となっていて使い勝手が良さそうだったのだが,札幌もようやくこれに近づいたことになる。ところが,少々残念なことに,ポロクルの注意書きには「なるべくならICカードを使って欲しい」という記述がある。ICカードの発行には手数料がかかるし,今の時代,手軽さという点では圧倒的にスマホアプリだと思うのだが,未だに日本はこういう状態なのだと思うと残念。他にも現場の自転車番号をアプリで借りた際に,その番号が確認しにくく,現場で右往左往してしまったことも事実。この辺りはアプリのUIを見直して欲しいところ。

実は,実際に自転車を借りた数日後,日経新聞でレンタサイクルが収入面で厳しいという記述がったのだが,先の金沢の例などを参考に,サービスサイエンスで乗り切って欲しい。アプリがあるということは,そこにプッシュ広告を出すことも可能なわけで,アイデア次第だと思う。何よりも,こうしたインフラができると,市民や観光客の活動範囲が大きく変わってくるはずだ。今後の発展に期待したい。

そうそう,何よりも千歳で実現したいなあ。如何でしょう?

2019年度曽我研究室スタート

2019年度曽我研究室がスタートしました!

どんな研究・社会貢献活動をしてくれるでしょう。大いに期待しています!

今年から,川名典人先生を本研究室の客員教授にお迎えいたしました。早速,4年生の輪講時にゼミに参加していただきました。もともと川名先生は語学教育の大家でいらっしゃる事から,4年生には大いに刺激になったようです。