10連休;鉄道模型とレンタサイクルなど

今年の5月は10連休だった。年度当初からバタバタが続き,授業の準備もままならない中,連休はありがたいのだが,かといって人間,そんなにスイッチを切り替えることが上手に行かないことはご存知の通り。何より,今年は連休終盤にかけて北大博物館での講演「デジタルガイドブック:博物館をどう見せるか?」があり,この準備に多くを割いてしまった。反省しきり。

家族旅行は,観光を考える上では貴重な体験。いつものように,頭の中はカスタマージャーニーマップだった(笑)。数は少ないが久しぶりに良い写真が何枚か撮れたのは収穫。やはり旅に出ると日常とは異なる体験ができ,脳の使い方が普段とは異なるのかピンとくるものがある。そんな中,大きな収穫だったのが新札幌で開催された「新札幌鉄道模型フェスタ」に参加できたこと。特に,ナローゲージだった支笏湖の「山線鉄道」を再現するにはHOナロー規格が必要で,この現物を見たり,「北海道鉄道観光資源研究会」という会があることも知りました。しかも,支笏湖ビジターセンターのK氏をご存知とのこと。世の中は足で稼ぐものですぞ!学生諸君(笑)。

 

さて,北大博物館にはバス,地下鉄,徒歩,というのが定番なのだが,今回は地下鉄からレンタサイクルを使った。これまでも札幌にはポロクルというレンタサイクルがあったのだが,これが全車電動アシストになり,しかもスマホアプリ化されたのだ。これを試すには絶好の機会だった。

前日に,アプリをダウンロードしてクレジットカード登録などを行う。本来は安全性が高いApple Payを使いたいところだが,やむを得ない。次にアプリでポートと呼ばれる駐輪・貸出場を探す。JR札幌駅北口の端にある自転車置き場付近と北大構内の工学部にポートを発見。これなら今回は都合が良い。スマホから自転車の予約もできるのだが,20分間のみ有効だというのが自分の場合微妙。当日地下鉄の中で札幌駅北口のポートをチェックしていたが,貸出自転車は潤沢のようだったので,直接ポートまで行くことにした。たまたまポートには若いスタッフたちが自転車の移動・整理などを行なっていた。ニューヨークだとトラックの前にずらりと自転車を積み上げて移動するのだが,日本ではこのあたりの整備が遅れているのかもしれない。

JR札幌駅北口のポート
いざ,北大へ!

一点注意するとすれば,ポロクルはポートに自転車を乗り捨てられるのだが,ここが数に限りがある場合がある。返却用のポートを予約することはできず,もし現地に行ってみて満車だった場合は大変だ。対応方法は二つ。一つはそのまま借り続ける方法。ポロクルの「一回会員」(今回はこれを選んだ)の場合,最初の一時間が150円(税抜き)で,以後30分ごとに100円ずつ上乗せされ上限は1500円となる。もう一つは,別のポートを探すことになる。北大構内には他にポートが無いので,最悪は借りっぱなしだと思っていたが,今回は無事,乗り捨てることができた。

北大工学部のポートに自転車を乗り捨てた。
ポロクル二台で北大構内を走る観光客?

前部に荷物カゴがあるので,カバンを放り込んで走った。JR北口のポートから工学部ポートまでの所要時間は7分。電動アシスト自転車は実に楽だ。これは,ポロクルならでは。いかんせん,講演の都合上,のんびりとしていられなかったので,駐輪後あたふたと徒歩で北大博物館へと向かったのだが,本当はもっとゆっくり使っていたかったところ。この日,北大からの帰路正門付近に観光客らしくカップルがポロクル二台で連れ添っている姿を見かけた。実は,ニューヨークやバンクーバー,金沢でもレンタサイクルがあり,利用したかったのだが,ようやく札幌で実現できたのだ。特に,金沢では自転車に広告を載せて少しでも稼ぎを出そうという創意工夫があり,感心した。

ニューヨークの例
金沢の例
バンクーバーの例

特に,海外では当初からアプリ化が前提となっていて使い勝手が良さそうだったのだが,札幌もようやくこれに近づいたことになる。ところが,少々残念なことに,ポロクルの注意書きには「なるべくならICカードを使って欲しい」という記述がある。ICカードの発行には手数料がかかるし,今の時代,手軽さという点では圧倒的にスマホアプリだと思うのだが,未だに日本はこういう状態なのだと思うと残念。他にも現場の自転車番号をアプリで借りた際に,その番号が確認しにくく,現場で右往左往してしまったことも事実。この辺りはアプリのUIを見直して欲しいところ。

実は,実際に自転車を借りた数日後,日経新聞でレンタサイクルが収入面で厳しいという記述がったのだが,先の金沢の例などを参考に,サービスサイエンスで乗り切って欲しい。アプリがあるということは,そこにプッシュ広告を出すことも可能なわけで,アイデア次第だと思う。何よりも,こうしたインフラができると,市民や観光客の活動範囲が大きく変わってくるはずだ。今後の発展に期待したい。

そうそう,何よりも千歳で実現したいなあ。如何でしょう?