「【曽我研究室】公開ゼミ」のご報告とお礼

私の研究室の4年生による「【曽我研究室】公開ゼミ」を開催いたしました。場所は,JR千歳駅の裏手,本学のシャトルバス乗り場近くにある「まちライブラリー@ちとせ」です。

普段,ゼミは大学の研究室で週2回開催していますが,今回は,街中に飛び出して,市民の皆様と一緒に,彼らの卒業研究の成果を共有させていただきました。写真のように,驚くほど多くの皆様にご参加いただきました。

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私の研究室では,テクノロジーやサイエンスを用いて,サービスに繋がる研究を行っています。今年の学生たちのテーマは,その多くが,支笏湖の自然や縄文遺跡など,地元である千歳や北海道の歴史や自然を元に,機械学習(AI)などを用いてモバイルサービスを提供するものです。そもそも,自然と機械学習が結びつくこと自体,想像しにくいのではないでしょうか。

今の時代,それが手軽に試せる時代になったのです。ある意味で,パーソナルコンピュータが生まれ,表計算ソフトというキラーアプリが現れた時代を思い出させます。道具として用いているのは,Appleが提供するCreateML(機械学習モデルファイルの出力)とFileMaker(モバイルソリューションの構築)です。学生が、わずか1年間の在籍期間中に,こうしたテーマを実装することができたのは,こうした優れたソリューションのおかげです。時代の変化を感じさせます。まずは,時代の変化を市民の皆様と共有させていただきたかったのです。

こうした研究活動は単にコンピュータの前に座っていただけでは実現できません。額に汗して,あちこちを歩き,自分の目で見て,多くの人から話を聞く必要があります。観察することこそがサイエンスの第一歩です。今回発表にお集まりいただいた方の中には,そうした,学生がお世話になった方が沢山来られました。特に大変なのが,ユーザテストの被験者です。今年は,まちライブラリー@ちとせにお越しの方にお願いしてユーザテストをさせていただいた学生もいます。この場をお借りしてお礼申し上げます。

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思い返すと,こうした市民との共有は,1997年に札幌で「マッキントッシュの匠たち」というコーシングラフィックシステムズ社のイベントに,当時,札幌の女子短大生たちと参加したのが初めてでした。この時の様子は,「Mac Fan」(マイナビ出版)というPC系の雑誌で紹介されました。あれから四半世紀が経ち、今回の取り組みも,マイナビ社が取材に来てくださり,近いうちに同社のWebで公開されるそうです。

まもなく,学生らと,熱く楽しく取り組んだ1年間が終わります。昔も今も思うことは,この活動が,彼らの人生の1ページに刻まれることです。皆様,お疲れ様でした。

当日発表内容:

    1. ” 機械学習を用いた自然現象の分析に基づく情報提供サービスに関する研究
-支笏湖鏡面現象を例にして-“
    2. ” デジタルアーカイブを活用した古資料閲覧支援システムの開発
-苫小牧市立中央図書館に おける王子軽便鉄道関連古資料の閲覧を例にして-“
    3. 機械学習を用いた支笏湖鏡面現象の判定と観光サービスへの応用
    4. ” 温度センサーを用いた情報提供サービスに関する研究
-支笏湖周辺を例にして-“
    5. “新規来館・再訪を促進するためのSNSを活用したビンゴアプリによる提案
-千歳水族館を例として-“(3年生)
    6. 機械学習による混雑度の予測を実装したシャトルバスアプリの開発
    7. ” ARを用いたガイドシステムの開発と利用満足度の分析 
-千歳市埋蔵文化財センターを例にして-“

キウス周堤墓群音声ガイドシステムの取材

今年頑張ったキウス周堤墓群にも秋の気配が漂ってきました。もう間も無く,管理事務所も解体撤去されます。

音声ガイドシステムも大活躍してくれました。今後は,多言語対応や埋蔵文化財センター所蔵品をARで表示するなどのサービスの充実を検討しています。3年生が頑張ってくれることでしょう。

さて,そんな様子を北海道新聞さんが取材に来てくれました。研究室のH君もしっかりと取材に応えてくれていました。ちょうど,昨晩,他言語システムの第一弾として札幌国際大学様にお願いしていたデータが届いたので,早速,プロトタイプを作り,記者さんたちにご覧いただけました。頑張った甲斐がありましたね。

久しぶりの対面式学会で学生が発表

昨日(2022/10/15)は、北大で、数年ぶりの対面による学会発表(情報処理北海道シンポジウム2022,情報処理学会北海道支部)に参加してきました。対面での学会は,本当に久しぶり、という感じでした。
研究室からは2組3人が発表に参加し、それ以外の学生たちにも今後の参考にと,全員参加させました。
この学会は、主に、情報処理系の学科などの学部生や大学院生が参加します。いわば、自分達と同じような年代の学生がどのような研究活動を行なっているかを見ることができるので、学生には刺激と参考になったと思います。
この学会の開催は、札幌と道内各地を交互に会場とするので、来年は札幌以外になります。先週研究室配属が決定した三年生たちに、今回の様子を共有しておきましょうか。
さて、私の研究室の学部四年生のうち、残りの4人は11月のPCカンファレンス北海道での発表を目指します。先行した3人の様子を参考にして、より充実した発表にしてくれることを期待しています。

スマホ管理キーロック

研究室が新しくなり、鍵の管理も変わった。研究室はカードキー、個室は通常の鍵、他にロッカーの鍵など、などやたらとジャラジャラするのが嫌で、後付けでスマホ管理(Qrio Lock)することにした。まずは、個室に付けてしばらく様子を見た。いけそうなので、学生と相談して研究室(元々オートキー)にも装着。学生のアプリには個別に合鍵を付与。実は、この鍵は非常勤先の講師室が使っているので、その意味では3個目ということになる。この時の体験が良かったので、検討した次第。

iPhoneアプリの他に、Apple Watchにも対応しているので、スマホを出す必要も少ない。オートロックもできるけど、心配なのでオフに(笑)。iPhoneを持っていて自分の部屋に近づくと自動的にオープンになる機能は、稀に機能しないこともあるけど、まあご愛嬌。多くはApple Watchで操作。

Apple Watchのアプリの仕様なのか(?)、複数キーを所持する際のインタフェースを改善して欲しい点が一つ。どのキーを操作するのかをスワイプして選ぶ必要がある。近場の鍵を候補に出すなどしてくれると嬉しいのだが。

今のところ順調。

学生がFileMakerで入退室システムを改良

昨年,4年生がFileMakerを使い,研究室の入退室システムを開発してくれました。コロナ禍にあって,学生の入退室状況を把握することが求められているからです。他の研究室では,紙に記入したり,ホワイトボードに書き込むなどしていますが,そこは曽我研究室らしく,という私の要望に答えてくれたものです。FileMakerのコンテストでも受賞するなど,便利に使っていたのですが,新しい研究室に引っ越して,次の機能が欲しくなりました。

各研究室では,学生や教員の入退室状況を名簿の紙にマグネットで示すのが一般的です。でも,せっかくFileMakerで入退室が管理されているのであれば,その状況をiPadで表示するようにすれば良いのでは,ということで今年の4年生が取り組んでくれました。

実験用にiPadは多数あるので,それを使うことにしました。入室管理は,研究室内のiPadに表示されたQRコードを自分のiPhoneアプリで読み取ることで入室処理を行います。

問題が一つありました。それは,廊下側に示したiPadが常に電源がオンの状態になります。これはFileMakerではどうしようもないので,iPadOSのショートカットアプリを使うことにしました。平日の一定時間をすぎると,iPadをスリープにし,ウェイクアップ時刻を設定しておくことで解決しました。

最後の課題は,退出処理を忘れる学生がいることです。これは,次の学生たちへのお土産ということにしましょうか(笑)。

研究の参考用にルンバなど購入

新しい研究室に移り,曽我研究室の学生たちは,毎週金曜日のゼミ終了後に掃除をしています。完成したばかりの新棟なので,きれいな部屋なのですが,敢えてルンバを購入しました。

これは,ルンバのアプリのインターフェースデザインを学生のアプリ構築時の参考にしてもらおうという意図です。

同じような意図で,もう一つデバイスを購入しました。研究室のドアはオートロックになっており,学生らは学生証をセンサーにかざして入室します。私の場合も同様なのですが,他にも自分の個室用に鍵がある(自分の個室にもQrioを付けました)など,ジャラジャラ持ち歩くのが嫌で,スマホで管理するQrioというデバイスを購入しました。

私がマスターキーを管理し,学生には合鍵を渡しました。さらには,ジオフェンスに対応しているので,スマホアプリを使わなくても,ドアに近づくと自動でドアが開く仕様です。正直,後者の認識率はイマイチですが,私は便利に使っています。学生の反応は「学生証でいいんじゃない?」というものでした(笑)。

私の場合,個室と研究室両方に鍵があるので,便利!と言いたいところですが,アプリで解錠する鍵を手動で選択する必要があるので,この点は「イマイチ」です(笑)。とはいえ,ジャラジャラ持ち歩く鍵などが減ったので,私は満足しています。

2022曽我研究室見学会

今年の本学の夏休みは,一般国公立大学と同様,9月いっぱいまでとなりました(秋学期開始が10月1日)。このため,3年生の研究室配属のための研究室訪問期間が長くなりました。現実には,8月上旬の定期試験終了後,秋学期開始ぐらいまでは,3年生は大学に来ない人が多いと思われ(本学の学生のうち6割程度の学生が札幌圏から通っています)ます。このため,私の研究室の見学会も8月第2週までで一旦終了し,9月下旬から再開することとしました。

案の定,定期試験終了日に3年生たちが大勢見学会にきました。あまりにも人数が多いので,研究室を見た後,情報棟一階のスペースで,4年生たちの卒業研究に関する話をしてもらいました。

熱心に4年生に質問する3年生の姿が微笑ましかったです。さて,来年はどのような学生が来てくれるのでしょう。楽しみです。

支笏湖鏡面現象ー独自カメラ設置

支笏湖には年に数回周りの景色が鏡のように映り込む「支笏湖鏡面現象」が現れます。色々なメディアなども取り上げているので,ご存じの方も多いと思います。曽我研究室では,昨年度からこの現象を観光リソースとして扱えないかと,工学的に研究をおこなっています。色々と調査する中で,支笏湖におけるこの現象が不思議な現象であることがわかってきました。

支笏湖鏡面現象の例

波の話ですから,風との関係があるだろうと思い,気象庁のデータや独自に設置した風向/風速センサーなどを使い調べてみました。すると,無風の日でも鏡面現象が出ない日があることがわかりました。

昨年度は,環境省の監視カメラ(モラップキャンプ場)の画像数万枚を機械学習で分析するところから始めたのですが,確かに,地元の方がおっしゃるように春先の朝方に発生することが多いことがわかりました。もう少し,厳密に調査すると,4月から5月の午前10時ぐらいまでに発生することが多いです。どうやら,この現象は支笏湖が水深の深い不凍湖であることと関係がありそうです(分析中)。

ただし,環境省の監視カメラは1時間に一枚しか撮影されないため,もう撮影間隔を短くした画像が欲しいところです。そこで,野生動物などを撮影する4Kカメラを,環境省のカメラと同じ場所に設置させていただくことにしました(設置にご協力いただいたO氏に深く感謝いたします)。

 

今回のカメラは監視カメラより解像度が高く(冒頭の鏡面現象の写真参照),5分に一枚撮影が可能です。さらに,我々の方で自由に撮影時間帯が設定できます。カメラを設置したのは,5月の連休中でしたので間も無く夏至になる時期でした。そこで,環境省のカメラよりも早い時間帯から真っ暗になるまで撮影時間を広げました。この結果,監視カメラが示したよりも鏡面現象はもう少し頻繁に現れることがわかってきました。

ところで,この現象の分析には機械学習を用いているのですが,今年度に入ると,昨年度作成した機械学習モデルの精度が落ちました。しばらく悩んだのですが,どうやらコロナウィルスの感染傾向がやや治ったこともあり,キャンプ場にテントを貼る人の数が増えたことが原因だったようです。キャンプ場のテントも配慮した学習モデルを作り直して,対応しました。

このブログを書いているのが8月です。そろそろ7月分の画像データを回収する時期です。本来,7月は鏡面現象が発生しないはずなのですが,早朝などどうなっているのか,確認するのが楽しみです。

「一万円選書」の「いわた書房」(砂川市)訪問

ゴールデンウィーク、唯一の遠出(?)は、その昔自分が住んでいいた美唄市やその周辺を車で巡ったこと。中でも、砂川市の書店「いわた書店」さんにお邪魔できたのは大きな収穫だった。NHKなどでも紹介されたので「一万円線書」の店で有名。ご主人は不在だったが、レジに娘さんらしき方がいらっしゃって、色々と話を伺うことができた。このお嬢さん、昔、母が勤めていたた美唄の炭鉱町「ガロ」の出身だった!

今回の目的は、9月上旬に千歳市で開催を予定している「ブックフェスティバル」のために、改めて「本屋」というものを見直すきっかけにしたかったから。

書店に入って感じたことは、その昔、北海道の町に「普通」にあった、「普通」の書店だということ。文房具も扱っているし、漫画もあれば雑誌もある。何より、感動したのが、レジのそばには「取り置き」して予約されている雑誌や本が並んでいたこと。誰かが受け取りに来るんだよね。私も子供の頃、そうだった。

そんな書店内を歩いていて、スッと手にしたのがこちらの3冊の本。一冊は「いわた書店」さんの本なので、当然(?)として(現在読書中だが、サービス科学的な視点で考えると実に興味深い内容なので、改めて記したい)、メタ認知に関する本が先ずは目に飛び込んできた。これは、現在の研究のテーマの一つなのだが、いきなり目に飛び込んできたので背筋がゾクゾクした。こちらも直ぐに手に取った。

最後の一冊が、博報堂の雑誌「広告」。これは、全く知らなかった。聞けば、限られた書店でしか販売していないという。しかも、毎月装丁が異なり、編集長もその都度変わるとか。確かに、在庫していた3冊全てが、異なる装丁で、自分が購入したのは「通巻414号」(「特集:著作」2020.3.26)で、壁のクロスのようなもの。この、ボロボロ感(?)が何とも言えず、最後の一冊で、文字通りボロボロになりかかり、レジの女性が恐縮されていたのだが、敢えて値札(?)が付いた状態で購入させていただいた。

この他、北海道の馬具メーカー「ソメスサドル」製のオリジナルしおりも購入。
これだけの本を選ぶのに、ほぼ、一瞬の出来事だった。なぜ、これだけの書籍を一度に購入することになったのだろう、とお嬢さんに伺うと、一つはほんの数を限定しているので、他の書店のように展示している書籍の「背」ではなく、表紙がしっかりと目に入るからでは、とのご意見に深く賛同したしだい。

とはいえ、「いわた書店」さんがある砂川市も人口が1万8千人ほどで、書店は2店舗だそうだ。現在は、高齢者を対象にした書籍の選択と販売を軸にしているとのこと。若い人たちはAmazonで購入できるが、高齢者はそうはいかないし、高齢者は本の良さをよく知っている、とのご意見も説得力があった。

自分は千歳の大学に勤めているが、千歳市には書店が無く、学生が本を買うためには札幌まで出なければいけないと言っている、と伝え、ぜひ「いわた書店千歳市店」をお願いします(笑)と伝え、砂川市を後にした。

上述したように「一万円選書」にはサービス科学的視点で読むと、書店が抱える課題とサービスによる解決がまとめられているし、何より「一万円選書」をAIサービス化(もちろん、いわた書店さんが稼げるビジネスモデル)できないか、など、多くのアイデアを得ることができた。ゴールデンウィークを、道内の近場で、実に貴重な経験をすることができた。

新年度の活動がスタート

いよいよ新しいキャンパスを使った新年度の授業がスタート。我が研究室は、学生の頑張りのおかげで引っ越しを終え、まずは順調なスタートを切ることができました。学生によれば、暖かく綺麗なキャンパスはモチベーションが上がるとのことです。成果を期待します!