「一万円選書」の「いわた書房」(砂川市)訪問

ゴールデンウィーク、唯一の遠出(?)は、その昔自分が住んでいいた美唄市やその周辺を車で巡ったこと。中でも、砂川市の書店「いわた書店」さんにお邪魔できたのは大きな収穫だった。NHKなどでも紹介されたので「一万円線書」の店で有名。ご主人は不在だったが、レジに娘さんらしき方がいらっしゃって、色々と話を伺うことができた。このお嬢さん、昔、母が勤めていたた美唄の炭鉱町「ガロ」の出身だった!

今回の目的は、9月上旬に千歳市で開催を予定している「ブックフェスティバル」のために、改めて「本屋」というものを見直すきっかけにしたかったから。

書店に入って感じたことは、その昔、北海道の町に「普通」にあった、「普通」の書店だということ。文房具も扱っているし、漫画もあれば雑誌もある。何より、感動したのが、レジのそばには「取り置き」して予約されている雑誌や本が並んでいたこと。誰かが受け取りに来るんだよね。私も子供の頃、そうだった。

そんな書店内を歩いていて、スッと手にしたのがこちらの3冊の本。一冊は「いわた書店」さんの本なので、当然(?)として(現在読書中だが、サービス科学的な視点で考えると実に興味深い内容なので、改めて記したい)、メタ認知に関する本が先ずは目に飛び込んできた。これは、現在の研究のテーマの一つなのだが、いきなり目に飛び込んできたので背筋がゾクゾクした。こちらも直ぐに手に取った。

最後の一冊が、博報堂の雑誌「広告」。これは、全く知らなかった。聞けば、限られた書店でしか販売していないという。しかも、毎月装丁が異なり、編集長もその都度変わるとか。確かに、在庫していた3冊全てが、異なる装丁で、自分が購入したのは「通巻414号」(「特集:著作」2020.3.26)で、壁のクロスのようなもの。この、ボロボロ感(?)が何とも言えず、最後の一冊で、文字通りボロボロになりかかり、レジの女性が恐縮されていたのだが、敢えて値札(?)が付いた状態で購入させていただいた。

この他、北海道の馬具メーカー「ソメスサドル」製のオリジナルしおりも購入。
これだけの本を選ぶのに、ほぼ、一瞬の出来事だった。なぜ、これだけの書籍を一度に購入することになったのだろう、とお嬢さんに伺うと、一つはほんの数を限定しているので、他の書店のように展示している書籍の「背」ではなく、表紙がしっかりと目に入るからでは、とのご意見に深く賛同したしだい。

とはいえ、「いわた書店」さんがある砂川市も人口が1万8千人ほどで、書店は2店舗だそうだ。現在は、高齢者を対象にした書籍の選択と販売を軸にしているとのこと。若い人たちはAmazonで購入できるが、高齢者はそうはいかないし、高齢者は本の良さをよく知っている、とのご意見も説得力があった。

自分は千歳の大学に勤めているが、千歳市には書店が無く、学生が本を買うためには札幌まで出なければいけないと言っている、と伝え、ぜひ「いわた書店千歳市店」をお願いします(笑)と伝え、砂川市を後にした。

上述したように「一万円選書」にはサービス科学的視点で読むと、書店が抱える課題とサービスによる解決がまとめられているし、何より「一万円選書」をAIサービス化(もちろん、いわた書店さんが稼げるビジネスモデル)できないか、など、多くのアイデアを得ることができた。ゴールデンウィークを、道内の近場で、実に貴重な経験をすることができた。