支笏湖鏡面現象ー独自カメラ設置

支笏湖には年に数回周りの景色が鏡のように映り込む「支笏湖鏡面現象」が現れます。色々なメディアなども取り上げているので,ご存じの方も多いと思います。曽我研究室では,昨年度からこの現象を観光リソースとして扱えないかと,工学的に研究をおこなっています。色々と調査する中で,支笏湖におけるこの現象が不思議な現象であることがわかってきました。

支笏湖鏡面現象の例

波の話ですから,風との関係があるだろうと思い,気象庁のデータや独自に設置した風向/風速センサーなどを使い調べてみました。すると,無風の日でも鏡面現象が出ない日があることがわかりました。

昨年度は,環境省の監視カメラ(モラップキャンプ場)の画像数万枚を機械学習で分析するところから始めたのですが,確かに,地元の方がおっしゃるように春先の朝方に発生することが多いことがわかりました。もう少し,厳密に調査すると,4月から5月の午前10時ぐらいまでに発生することが多いです。どうやら,この現象は支笏湖が水深の深い不凍湖であることと関係がありそうです(分析中)。

ただし,環境省の監視カメラは1時間に一枚しか撮影されないため,もう撮影間隔を短くした画像が欲しいところです。そこで,野生動物などを撮影する4Kカメラを,環境省のカメラと同じ場所に設置させていただくことにしました(設置にご協力いただいたO氏に深く感謝いたします)。

 

今回のカメラは監視カメラより解像度が高く(冒頭の鏡面現象の写真参照),5分に一枚撮影が可能です。さらに,我々の方で自由に撮影時間帯が設定できます。カメラを設置したのは,5月の連休中でしたので間も無く夏至になる時期でした。そこで,環境省のカメラよりも早い時間帯から真っ暗になるまで撮影時間を広げました。この結果,監視カメラが示したよりも鏡面現象はもう少し頻繁に現れることがわかってきました。

ところで,この現象の分析には機械学習を用いているのですが,今年度に入ると,昨年度作成した機械学習モデルの精度が落ちました。しばらく悩んだのですが,どうやらコロナウィルスの感染傾向がやや治ったこともあり,キャンプ場にテントを貼る人の数が増えたことが原因だったようです。キャンプ場のテントも配慮した学習モデルを作り直して,対応しました。

このブログを書いているのが8月です。そろそろ7月分の画像データを回収する時期です。本来,7月は鏡面現象が発生しないはずなのですが,早朝などどうなっているのか,確認するのが楽しみです。